クリスマスを過ぎると、一気に年末・年始の支度に忙しくなりますね。皆さまのご家庭では、どのような「お正月」の支度がありますか。
仙巌園では、例年12月の中旬から門松を飾ります。「仙巌園の門松」といえば、毎年造る一対の大門松が話題となります。高さがおおよそ3メートル、直径1.8メートルの、大型のものです。そもそも、門松とは、五穀豊穣をもたらして下さる「年神様(歳徳神)」が、各家を訪れるための依り代(目印)のことです。
仙巌園の大門松には、細やかな決まり事があります。今回は、そちらをご紹介致します。
まず、全体をまとめる縄目の数です。下から、七回・五回・三回と巻き、「七五三」となるようにします。七五三の数字の意味は、三歳の「髪置き」、五歳の「着袴」、七歳の「帯解き」という、子ども成長の節目を祝った年の数です。これらの儀式にあやかり、成長や幸福の願いが込められています。
次に、飾っている植物についてご紹介します。まずは、松竹梅の枝です。松は、常緑樹であり、冬でも美しく青々とした姿を保つことから『長寿』。竹は、しなやかで折れにくく、生育が早いことから『成長、生命力』。梅は、樹齢が長く、まだ寒いうちから他の花に先駆けて咲き、その姿と香りの美しさから『気高さ』。それぞれが、とてもよい意味を持っています。
他に、南天、ゆずり葉、葉牡丹等も飾ります。南天は、冬には少ない魔除けの「赤色」を持つ植物であることから、長らく厄除けの意味で用いられていました。また「なんてん」の音が「難を転ずる=難転」から「幸福」を連想させるため、縁起がよいものとして、広く愛されています。
ゆずり葉は、前年の葉が、若葉に場所をゆずる様子から「代々続いていく」「再生・新生」などの意味を持ちます。葉牡丹は、紅白の色と、幾重にも葉が重なる姿から「幸運が重なる」として用います。
最後に、中央に立つ「竹」です。こちらは、写真をご覧頂ければ分かるように「笑っている、人の顔」に見えるように整えられています。断面の下の、小さな三角が「笑った口」に見えるでしょうか?
このように、門松には、縁起がよいとされるものが、たくさん飾られています。長寿、成長、気高さ、幸福、そして笑顔。新しい一年が、それらで満ちた、すばらしいものとなるよう、古からの願いに、私も思いを重ねる次第です。
【投稿】2020年12月28日